トラックの歴史が分かる!?日本、世界のトラックを解説

荷物輸送には飛行機、鉄道など様々な方法がありますが、最もポピュラーな選択肢として多くの人が思い浮かべるのはトラックでしょう。しかし、トラックがいつ発明されて、いつから使われているかといえば明確に答えられる人は少ないと思います。

そこで、この記事ではトラックの起源となるものから日本における陸上輸送手段の進化をたどりつつ、世界でトラックがいつ・どのように発明されたのかを探り、世界と日本のトラックの歴史を紐解いて紹介していきます。

700年代

日本の奈良・平安時代では荷物を牛車(ぎっしゃ)で運んでいました。その名の通り牛の後ろに荷台があり、その荷台を牛に引かせて荷物を積んでいました。馬車は馴染みがあると思いますが、馬は主に人を運ぶために使われていたようです。牛車でも人を運んでいましたが、主に貴族が使うものでした。牛は後々大衆にも広まり、畑仕事用の家畜としても使われました。

1100年代

鎌倉幕府が開かれて武士の時代になると馬が荷物を運ぶのに活躍します。鎌倉時代以降、市という物資と貨幣を交換する売買取引場の発展が全国的に見られます。その為、荷物の運搬のために「馬借(ばしゃく)」が誕生し始めます。馬借とは、馬の背に荷物を載せて輸送した運送業者のことです。

1860~90年代

日本では幕末まで牛車が使われます。鎖国が終了すると西洋文化が多く持ち込まれたため、荷物を運ぶ手段は変化します。これまで人を運ぶ手段として使われていた馬を西洋式の馬車として利用するようになり、郵便や荷物を運ぶようになりました。また、蒸気機関車も製造され一度に多くの荷物を運ぶことができるようになりました。この結果、一時的に荷馬車が衰退したものの、蒸気機関車の停まる駅まで荷物を運ぶために荷馬車の需要が再度増加しました。

その間にドイツでは世界初のトラックが製造されます。ダイムラー社の「フェニックス」です。排気量が1.06Lで4馬力を発揮するトラックでした。馬力とは、ある物体をどれほどの時間で、どれほど動かせるかを表す単位です。トラックでは最高出力を示す際に使用しています。原付が4.5~7.5馬力ほどと言われています。

1900年代

1890年代から輸入車を参考に日本各地で自動車の開発を行い、1904(明治37)年、岡山の電気技術者の山羽虎夫によって日本初の自動車「山羽式蒸気自動車」が誕生しました。蒸気の力で動く乗合自動車で、今でいうバスでした。最高速度は8km/hで当時は道路状況が悪くタイヤがかなりパンクしたため、残念ながらこの車両は乗り合い自動車として実際に使用されることはありませんでした。そして、1907(明治40)年に国産ガソリン自動車も誕生しました。この頃、陸軍がトラックの有用性を認知しており、軍を挙げてトラック、バスの開発が進みました。

1920~30年代

いすゞ自動車の前身である「東京石川島造船所」が第一次世界大戦による好景気で得た資金をもとに自動車業界へ参入します。そこで、イギリスのウーズレー社との契約を成立させ、ウーズレー自動車の製造権と東洋での販売権を手にします。社員を現地に派遣したり、図面と機械などを取り寄せたりといった苦労の末、1924年に1,000kmの性能試験に耐えたトラックが完成します。

約10年後の1932(昭和7)年には、石川自動車製造所、東京瓦斯(がす)電気工業(日野自動車の前身)、ダット自動車製造の3社で自動車を製造しました。それまで作っていた国産トラックは材料の一部や部品に外国製品のものが使用されていましたが、3社共同で作ったトラックは材料、電装品、計器類など全て国産で製造されました。

1923年、関東大震災が発生し甚大な被害が出ました。そこで復興のためにトラックやバスが使われたことで広く一般的にトラックとバスの有用性が認知され、利用が拡大されたと言われています。

戦後

終戦直後はGHQにより、自動車の生産が禁止されていましたが、1945(昭和20)年10月にトラックは解禁されヂーゼル自動車工業で5tトラックの生産がされました。

翌年1946年にはディーゼルエンジンのトラックを発売し、トラックの進化が続きます。ちなみにタカラ産業株式会社の前身である中央製機有限会社が創業したのは1960年です。

現代

高度経済成長に入るとさらなる進化を遂げ、2023年現在では水素燃料電池車や電気自動車が開発されています。また、自動運転の実証実験を行っており5段階レベルのうちレベル4の車両がジャパンモビリティショーで展示されました。

また、「スマートモビリティ」という試みがすでにスタートしています。自動運転もスマートモビリティの一つです。ICTやAIの力を利用し、都市部での慢性的な渋滞、過疎地域の公共機関の衰退などの課題を解決し、地域活性化を目指しよりよい社会を築く取り組みです。トラックでの自動運転が実現すると、ドライバー不足を解消できる、配達が効率化される、運転に安全性が確保されるなどのメリットがあります。

まとめ

今回はトラックの歴史について解説しました。かつては、牛や馬を使って荷物を運んでいました。開国を機に車両が発達し、戦後から現代にかけて急成長を遂げています。現在は地球にやさしい水素電池や電気自動車の開発が進んでおり、二酸化炭素の排出を抑える取り組みが進んでいます。自動運転の技術でいつか人がいなくても荷物が運べる世の中になるかもしれませんね。

【参考】
日本ではいつごろにトラックができたの? | いすゞ自動車 (isuzu.co.jp)
日本における乗物・運搬の歴史/ホームメイト (touken-world.jp)
【海外技術情報】ダイムラー:世界初のトラックは1896年にゴットリープ・ダイムラーにより製造された|Motor-FanTECH[モーターファンテック]
「馬力」の意味とは?1馬力とはどれくらいの大きさなのかを含めてご紹介 | コトバの意味辞典 (word-dictionary.jp)
トラック&バスの歴史1 | 名車文化研究所 (meisha.co.jp)
日本の自動車産業はトラックから始まった!! 国内基幹産業の礎を築いたいすゞの一大プロジェクトとは?【いすゞの歴史写真館】 – トラック総合情報誌「フルロード」公式WEBサイト (bestcarweb.jp)
物流業の歴史~トラックの登場から自動運転の未来へ~ | Logi-Times|物流情報メディアLogi-Times ロジタイムズ
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自動運転トラックの現状とは?隊列走行の課題やメリットもご紹介 (sint.co.jp)

 

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