今回は、タカラ産業株式会社の子会社である PT. TAKARA SANGYO INDONESIA (以下『TSI』)をご紹介します。
本題に入る前に、まずインドネシアについて少し説明しておきます。
インドネシアってどんな国?
インドネシア共和国(Republik Indonesia)は、赤道直下に位置し、17,000を超える島々からなる東南アジア最大の群島国家です。
国土は東西約5,100kmに広がり、国内には2時間の時差があるほど。人口は約2億8千万人と世界第4位を誇り、首都は現在ジャカルタからカリマンタン島のヌサンタラへの移転が進行中です。
日本からジャカルタまでは飛行機で約8時間。親日国としても知られ、日系企業が多く進出しています。
タカラ産業のインドネシア現地法人「TSI」とは?
TSIは、ジャカルタから東へ約80kmの西ジャワ州にあるKota Bukit Indah工業団地内に立地しています。この工業団地には、主要顧客の一つであるPT. HINO MOTORS MANUFACTURING INDONESIAも拠点を構えています。
設立は2013年1月。社員数は5名(インドネシア人4名、日本人1名)と、非常にコンパクトな体制で運営しています。
外資系企業の多くは、本国では数十名規模であっても、インドネシア現地法人は数百名体制となることが一般的です。そのため、TSIのような小規模運営は珍しい存在と言えます。
TSI内や顧客・サプライヤーとのやり取りは、基本的にインドネシア語で行われています。
主な取り扱い製品と製造工程
取り扱い商品は、大型スペアタイヤキャリア2機種、アオリバランサー(インドネシアでの商品名『Spring Balancer Wingbox』)1機種です。
日本本社で一次加工(プレス)した部品を輸入し、TSI でロボット溶接、外注でカチオン電着塗装、TSI で組立、梱包、出荷しています。
販売先はインドネシア国内のトラックメーカー、架装メーカー、修理業者などのトラック関連企業で、日本への輸出はしていません。
主な出荷先
スペアタイヤキャリアのメイン出荷先は PT. HINO MOTORS MANUFACTURING INDONESIA、PT. HINO MOTORS SALES INDONESIA。小口ですが東ジャワにある架装メーカーからもコンスタントに注文をいただいています。
アオリバランサーの出荷先は、主としてジャワ島内様々な地域のトラック架装メーカーや修理業者です。遠方の顧客へは宅配便を使って納品します。
インドネシア市場の特徴と競合環境
アメリカやヨーロッパに行くとウイング車は少ないと記憶してますが、インドネシアではたくさん走っています。これは、インドネシアには日系製造業者がたくさんあり、かんばん納入が多い(ちょこちょこ納品するため、楽に積み下ろしできる必要がある)からだと思われます。
また、インドネシアにおけるトラックあおりは、アルミ製ではなく鉄板製なのでとても重いのです。そのためあおり開閉補助装置のニーズは高く、80%ほどのウイング車にいずれかのメーカーのあおり開閉補助装置が装着されています。
現地に根ざした営業と品質重視の姿勢
インドネシア市場には、ローカルメーカーや中国製のあおり開閉補助装置が数多く出回っており、TSIもそれらと競合しています。そうした中で、地道な営業活動が功を奏し、少しずつ顧客数を増やしてきました。インドネシア語の取扱説明書を用意し、実際に取り付け方法を指導する場面もあり、多くのお客様から喜ばれています。
TSI製品と他社製品では、品質に大きな差があり、その点が信頼獲得につながっています。一方で、インドネシア市場には「品質よりも価格を重視する」という文化が根強く残っているのも事実です。
「価格が安ければ買う」「壊れにくい製品は修理の仕事が減るから困る」といった声を耳にすることもあります。そうした企業とは無理に取引せず、「良い製品を使って、良い仕事をしたい」と考える顧客との関係を大切にしています。
現場での学びと改善活動
TSIでは、毎月数回、改善活動や勉強会の時間を設けています。構成部品や製品の特徴、安全性や作業効率について学び、それらを日々の業務に活かしています。
教材は自分たちで準備し、単に読むだけで終わるのではなく、現場に足を運び、実物に触れて実情を把握しながら、頭を使って応用を考えることを大切にしています。
これらの取り組みは常に笑顔のあふれる雰囲気の中で行われ、楽しみながら学ぶ文化が根づいています。
おわりに
今回は、インドネシアとタカラ産業インドネシアについて触れました。常夏の国、ASEANの中心として発展中の国、とても親日の国。そんな国インドネシアにおいて、私たち TSI は、インドネシア人のもつおおらかさと日本ビジネスの特徴であるきめ細かさをうまく融合させています。
こだわるところにはこだわり、ゆるめるところはゆるめ、メリハリのあるビジネスを展開しています。TSI 社員は皆、自分たちの製品やサービスに自信と誇りをもって、毎日嬉々として仕事に励んでいます。