トラック昇降設備の義務化について詳しく解説!

トラックに積んである荷物の出し入れをどのように行うか知っていますか?
フォークリフトを使って荷物の積み下ろしをすることもあれば、人が直接積み下ろしすることもあります。しかし、人が重い荷物をトラックの荷台という高い位置に積み下ろしする場合は、多くの危険が潜んでいます。
今回は、積み下ろしの際などのけが等を防ぐために労働安全衛生規則が改正されたので、具体的に解説します。

昇降設備とは

昇降設備とは、持ち運びのできる踏み台や、トラックに設置されているステップ(足場)等のことです。はしごや脚立などを昇降設備として使うことも可能です。
また、テールゲートリフターというトラックの荷台後部に装着された荷物の積み下ろし用の昇降装置があります。これを中間位置で停止させてステップとして利用する場合は昇降設備として使用できます。テールゲートリフターはテールリフトと呼ぶこともあり、その他さまざまな呼び方があります。

 概要

トラックの昇降設備の義務化は令和5年10月から労働安全衛生規則の改正により範囲が拡大されたことにより話題になっています。改正により、変化があった部分を説明します。

昇降設備の設置及び保護帽の着用が必要な貨物自動車の範囲が拡大

昇降設備の設置について、これまでは最大積載量5t以上のトラックに関する規則でしたが、最大積載量2t以上から昇降設備設置の義務の範囲が拡大しました。
昇降設備は「床面と荷台との間の昇降」「床面と荷物の上との間の昇降」どちらにも必要です。
保護帽の着用については、最大積載量ごとに義務の内容が変わります。3点あります。
1つ目、最大積載量5t以上
2つ目、最大積載量2t以上5t未満で荷台の側面が構造上開閉できるトラック、
3つ目、最大積載量2t以上5t未満でテールゲートリフターが設置されているもので、テールゲートリフターを使用する際に着用
保護帽は型式検定に合格した墜落時保護用の製品を使用しなければなりません。

テールゲートリフターを使用して荷を積み下ろす作業への特別教育の義務化

学科教育を計4時間、実技教育を2時間が新たに特別教育として義務化されます。もうすでに作業に従事している方や別途特定の教育や講習を受けた場合は免除や省略の対象となることがあります。

運転位置から離れる場合の措置が一部改正

運転者が運転位置を離れる場合、①エンジンの停止②荷役装置を最低降下位置に置くことが義務でしたが、運転席とテールゲートリフターの操作位置が異なる場合は適用除外となりました。ただし、ブレーキを確実にかける等の措置は必要です。そのほか輪止めを使用するなど逸走防止措置を確実に講じなければなりません。

 なぜ義務化するのか

陸運業の労働災害の中で最も多いのが墜落転落災害です。荷台への昇り降りの際、足を踏み外してしまったり、足場が濡れており転倒してしまったりすることが多いようです。
トラックの大きさ別の内訳では最大積載量5t以上のトラックからの災害が約5割、2t以上5t未満が約4割です。
車両別の内訳だと平ボデー、ウイング車での災害が約5割です。側面が解放できるトラックで墜落転落災害が発生しています。
けがをした人のうち、6か月以上のお休みと重篤なけがをした人のうち7割は保護帽(ヘルメット等)を着用していないことが判明しました。
また、令和3年に発生した荷役作業中の墜落・転落死亡災害10件のうち最大積載量5t未満トラックで起きた4件については保護帽の着用していれば死亡に至らなかったとされています。

まとめ

今回はトラックの昇降設備の義務化について解説しました。義務化の範囲が広がり、防げる事故が増えていくと考えられます。規則に則った設備を整え、安全に作業を進めるには、会社として取り組む姿勢や個々の意識が必要となります。その為に定期的な勉強会をしてみてはいかがでしょうか?

 

参考

荷役作業時における安全対策+.indd (mhlw.go.jp)
001514113.pdf (mhlw.go.jp)
nagasaki-21080403.pdf (mhlw.go.jp)
PowerPoint プレゼンテーション (mhlw.go.jp)

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